翔悟が手錠をかけられたとき、また客室の扉が開いた。
「無事か!? まりちゃん!」
慧と燈一郎が客室に入ってくる。
室内の様子を見て、慧が頭を抱えた。
「うわっ!? なんか俺、とくダネ逃したか!?」
「慧さん、どさくさにまぎれて……」
茉里香が半眼でにらんだ。
「……犯人は、花巻さんだったか……」
燈一郎は複雑な顔をして言った。
「私がモリストッパーZをこの宿に呼び込んでしまったのかもしれないな。申し訳ないことをした……」
「いえっ……先生のせいではありません。俺が、俺が自分を抑えられなかったから……」
翔悟が悔しそうに歯を食いしばった。
「ひとまずは、一件落着ってところかしら〜」
暦がそう言って、ふと、首を傾げた。
「でも〜……警察はまだ来れないのよねえ?」
「そうみたいですわ」
るいは手元のスマートフォンに目をやりながら言った。
「この吹雪では、道路の復旧もむずかしいみたいで……」
「じゃあ私たち、しばらくこのお宿に滞在することになるのよねえ?」
「もうっ、こよみちゃん、なにが言いたいの?」
茉里香が言うと、暦がにこにこしながら言った。
「料理人さんに手錠をかけちゃったら、私たちの食事はどうなっちゃうのかしら〜?」
その場の全員が翔悟に視線を注いだ。その圧に、翔悟がたじろぐ。
「え、え? ……いや、でも……」
「やっぱり翔悟さんが犯人じゃない可能性も……」
「じゃあ、逮捕するのはまだ早いんじゃないか?」
ひそひそと相談する茉里香たちに、
「いや、俺が犯人ですってば!!」
翔悟が大きな声で主張するはめになった。