後日。
モリストッパーZが過去に投稿した動画は再び再生数を伸ばし、燈一郎の新刊は事件を彷彿とさせる内容だと話題になっていた。
モリストッパーZが殺された事件は、インターネット上ではそこそこ話題になったが、世間的にはさらっとニュースに流れて終わった。
もちろん警察が到着する前に犯人もわかっていたので、茉里香たちは目論見どおり、深く追求されることもなかった。
茉里香は今日もウルリカとして、インターネットの配信をしていた。
しかし、しばらく時事ネタに触れる気にはなれず、ゲームをだらだらと流しているだけだった。
「このゲーム、むずかしいな〜。なにかクリアするのにコツとかある?」
茉里香はそう言って、コメント欄を眺めた。
すると、ほどなくして投げ銭つきのコメントが表示された。
『ウルリカちゃん、がんばれ〜。おじさん応援してるよ〜』
「あはは、ありがとー。えっと……9がKさん……?」
読みにくい名前だなと思った瞬間、茉里香ははたと気づく。
九……ケイ?
……これ、久我慧だ!
茉里香は平常心を装って、ゲームにもどる。
しかし、頭の中はパニック状態だった。
(慧さんに、正体がバレてた! ……もしかして、最初からわかってて……!?)
思い返せば、節々に怪しい点はあった。
小さな情報屋って、ウルリカのことだったのか!
(あのとき写真、ちゃんと消させたよね……?)
しかし、ほかにデータが残っていないとも限らない。
……まあでも、と、茉里香は浮きかけた腰を下ろした。
調子は軽かったけれど、慧から悪意は感じられなかった。
それにもし「悪い人」だったとしても、なにかあればこちらにも切り札がある。
茉里香は雑念を振り払った。
ゲーム内のアイテムを使い、苦戦していたステージをなんとかクリアする。
茉里香は不敵に笑った。
合わせてウルリカのアバターも、にやりと笑う。
探偵。
刑事。
カメラマン。
小説家。
退屈よりも、スパイスはあったほうがいい。
私の人生、
──なかなか、おもしろくなってきたじゃないの。
いつの間にか、
視聴者数はじわりじわりと増えていた。