茉里香はるいを自分の客室まで連れてきた。
るいは、わずかに肩をこわばらせて部屋の中に足を踏み入れた。
「話したいことって、なにかしら」
「えっと……、いっしょに真犯人を見つけませんかって……お誘いなんです」
それぞれ座椅子に座り、茉里香はおずおずと尋ねた。
「るいさんって……刑事さん? ……ですよね?」
るいは驚いた顔で、茉里香と暦を交互に見た。
それから、ふっと笑った。
「驚いた。どうしてわかったの?」
「えっと、私たちの知り合いに探偵がいるんです。……無職ですけれど」
『フリーターだ』
画面のなかで封太が訂正する。
るいは一瞬だけ視線を伏せ、やがてポケットから警察手帳を取り出した。
「お察しの通り、わたくしは刑事。モリストッパーZ──森下留(もりした・とめる)の内偵兼保護のために来ました」
るいはそれから、ぎゅっとにぎりこぶしを作った。
「ですが、完全に油断していました。この宿にいるうちは安全だろうと思ったら……まさかこんなことになるなんて」
『保護、ということは、殺害予告でもされていたのか?』
「おっしゃる通りですわ。彼は頻繁に脅迫されたり、殺害予告をされたりしています。ストーカーに家を突き止められ、侵入されて怪我を負ったこともあります」
『命懸けで配信をしていたのか……』
「彼はそれらを武勇伝のように語り、すべて配信のネタに変えてしまいますの。ですからわたくしたちも表立って警護できませんでした」
るいは悔しそうにくちびるを噛んだ。
画面越しに、封太はふむ、と視線を落とす。
『狙われていることは、周知の事実だったということか』
「ええ。今回も、アンチは来れるもんなら旅先までついてこい、と挑発していましたわ」
封太はスマートフォンをスワイプしている。
どうやらモリストッパーZの動画を確認しているようだった。
『敵が多いわけだな。彼の動画を見たことのある人間なら、そういう感情を持ってもおかしくはないということだ』
それから封太は顔を上げて言った。
『動機は広すぎる。……ならば次だ。どうやって殺したか』