「ちょっとぉ、まりちゃん、大丈夫〜?」
暦が心配そうに茉里香を肩で支えながら声をかける。
茉里香はすっかりのぼせていた。
ふらつく身体でなんとか着替え、廊下に出たものの目をまわしそうな勢いだ。
「ひとまず水分をとったほうがよさそうねえ。湯上がり処のなかにたしか自販機があったはずなんだけれど〜……、あら?」
明かりの消えていた湯上がり処だったが、暦が引き戸を引くと、ズズ、と湿った音を立てて引き戸が動いた。
中は薄暗く、暦の言っていたとおり自動販売機の明かりだけがついている。
「よかった、飲み物は買えそうね。お部屋の電気は……あったあった、これねえ」
暦が電気のスイッチを入れると、室内がぱっと明るくなった。
湯上がり処は和を基調にした空間で、ドリンクテーブルと椅子がいくつか並んでいる。
音楽はないので、静かだ。
自動販売機のコンプレッサーが、低くうなっている。
「まりちゃん、スポーツドリンクにする? それともお茶〜?」
暦は部屋に足を踏み入れようとして、ふと、違和感を覚えた。
椅子のひとつに、だれかが座っている。
その人物は、
深く、沈み込むようにして、
まるで、眠っているかのように。
茉里香と暦の目が、ゆっくりと見開かれた。
それは、モリストッパーZだった。
椅子にもたれるようにして、仰向けになって。
──頭からは、血を流して。