あめふり(e)


その夜、郵便屋の家のひと部屋で、が、ひたいを寄せてひそひそと話をしていた。

「ベルナデットが、この世界とはちがうところからやってきた存在だ、って……?」
「これ、ないしょだよ。……フミも、ないしょだからね!」
「わかりました」

イスに座っていたフミが、にこやかに返事をした。
はというと、ふむ、と人さし指の背を口もとに当てた。

「……それが可能なら。だんだん話が見えてきたぞ」
「え、うそ。私にはぜんぜん見えてこないよ!?」
「フミはこの世界で、森のなかでも神さまの影響を受けないような、あきらかにイレギュラーな存在だ。そしてフミと共通事項のあるぼくたち……『ロボット』を知っているぼくたちは、やっぱりイレギュラーに近いんだ」
「ふ、フムフム?」
「……、わかってないな。でも、うん。ぼくのなかで、もう答えはまとまりつつある。 あした、フィリーネさんの葬儀が終わったら、もう一度神さまの会いに行く」

はそう言って、の顔をのぞきこんだ。

「……ただ、なにが起こっても、うらまないでくれよ」
「うらまないよ! それにわたし、知ってるもん」

は確信に満ちた目で言った。

「……神さまだって、そんなに悪い人じゃない、って」