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鷲村たちのいる教室をあとにした新弥は、頭を悩ませていた。

とにかく、言われたとおりに「姫野ミカミ」の情報を探さなければいけない。
……でも、いったいどうしろというんだろう?

姫野ミカミは、逸話こそ多いものの、彼の残した数々の伝説に痕跡らしいものはなにもなかった。
彼の所属していたという、ミステリ同好会の部室へ探しに行くことも考えたが、新弥は頭をふった。

(……部室棟へ行くには、この校舎から離れなければいけない。いまは危険だ)

そこで、新弥は卒業アルバムの存在を思い出した。

たしか、図書室には歴代の卒業アルバムが保管されていたはずだ。
もしかしたら、写真くらいなら見つかるかもしれない。

それを鷲村のもとへ、持って行けば。

そこまで考えて、新弥の足が止まった。

(……持って行けば、下水流さんはほんとうに助かるのか?)

犯人が人質を解放するなんてことは、ありえないと思う。

……それよりも、犯人の居場所がわかったいま、このままここから逃げてしまえば……?

そんな黒いこころの声に、新弥はぶんぶんと首を横にふった。

なにをばかなことを。
そんなことこそ、ありえない。

最善をつくそう。
僕のいまの役割は、姫野ミカミの資料を彼に届けること。

そのあとのことは、それから考えよう。