気配 -- 02


一方、職員室に向かっていた兎沢と青空のふたりも、校内の異変に気がつき始めていた。

「……妙ね。生徒も先生もひとりもいないなんて、さすがにちょっと、おかしい……」

兎沢がそうつぶやいたとき、あわただしい足音が聞こえてきた。

「……小雨こさめ! 姿が見当たらないと思ったら、こんなところにいたのか!」

大声で叫びながらそこにやってきたのは、数学教師の狐塚だった。

「時間がない、早く逃げるぞ! 西森妹も、早く!」

状況が飲み込めない兎沢と青空は、言われたとおりに狐塚のあとを追って走る。
青空が息を切らしながら、狐塚にたずねた。

「こ、狐塚先生……っ、なにがあったんですか……っ!?」
「なにがあったって、おまえら、さっきの校内放送が聞こえなかったのかよ!?」
「ああ……ごめん、視聴覚室のスピーカーの電源を切ってて……」
「……ッ! バカか、こんなときに……っ!!」

3人が校門の外に出ると、月見坂学園はすでにたくさんの人だかりに囲まれていた。
その中には、月見坂の制服を着た生徒たちも大勢いる。

しかしその人々は、青空をひと目見た瞬間、わっ、と声をあげてその場から遠ざかった。
兎沢が青空を見ると、彼女は両手にまだ段ボール箱を抱えたままだった。

「あら……西森さん、それ、置いてきたらよかったのに」
「す、すみません、気が動転しちゃって……あの……でも、どうしてみんな、逃げちゃったんですか?
……というより、いったいなにが起こって……」
「みんな、その段ボール箱の中身を『爆弾』だと思ったんだろ」

狐塚は険しい顔で、校舎を振り返った。

「さっき、おかしな男が学園内に侵入したんだ。
……なんでも、この学園内に爆発物を仕掛けたらしい」