「きみが森の呪いにかかっている、って……」
はおどろいて、ベルナデットを見た。
「じゃあ、きみも記憶がないの? それに、森の神さまに、なにか願いを叶えてもらったのか?」
「いや……、『記憶を失うこと』が代償というわけではない。願いの代償は、『永遠の悪夢』を与えられることだと言われている」
「悪夢……」
「そうだ。だから人それぞれ、与えられる悪夢がちがう。私に与えられた『悪夢』は……」
そう言って、ベルナデットは夜空を見上げた。
「……それは、あしたになってから、にも実際に見てもらったほうがはやいだろう」
そのころ、は一足はやく、ベッドで眠りについていた。
そして眠りのなかで、ゆめを見た。
それは郵便屋のゆめだった。
郵便屋が、少女と笑い合っている。
ふたりはとても楽しそうで、ふたりの笑顔は水面に映る光のつぶのように、きらきらと輝いていた。
それだけで、きっと彼らは、おたがい好き同士なんだろう、ということがにもわかった。
はしばらくのあいだ、ぼんやりとそのふたりの様子をながめていた。
(あの女の子……)
少女の笑顔を見ながら、は思った。
あの女の子、……わたし、どこかで見たことがある気がする。