もり -- 01


たちは歩きながら、郵便屋に自分たちの事情を説明した。

ふたりとも、気がついたらこの森の中にいたこと。
それまでの記憶がまったくなく、自分たちの名前しか思い出せないこと。

ふたりの話を聞き終えた郵便屋は、ゆるやかにうなずいた。

「そうですか。……ふたりとも、災難でしたね」

そう言いながらも、郵便屋の足取りは変わらない。
しっかりと、落ち葉の上をさくさくと歩いていく。

「あの、郵便屋さん」

は、木の根に足を取られないよう注意しながら、郵便屋に声をかけた。

「さっきの……郵便屋さんが花を供えたあの場所は、いったいなんですか?」
「あの場所は、この森の神さまが休む場所です。
……街の人たちは、神さまを恐れてほとんどこの森に近づこうとはしないので、あなたがたがいたことにはおどろきました」
「……森の神さまは、おそろしい神さまなんですか?」

がたずねると、郵便屋は困ったように笑った。

「そうですね。力を持っているということは、たとえそれがどんなものであっても、おそろしいことなのかもしれません」

郵便屋はそう言うと、ようやく足を止めた。
気がつけば、枯れ葉だらけの黒土の道が終わり、古い木の板が敷かれた道に変わっていた。

「……見えてきました。あの街が、僕の住む街です」

森は、小高い丘になっていたらしい。木々のあいだから、その街を一望することができた。

白い壁に、赤茶色の屋根の建物が立ち並んでいる。
街の周りは森や山に囲まれていて、その一角には海が見えた。

郵便屋はふたりを振り返ると、ほほ笑んだ。

。……『ライナスの街』へようこそ」