聞き取り調査(b)


つぎに、ふたりは警察署へとやってきた。

駅前にある交番とちがって、外観から見ても5階くらいはありそうな、広く大きな建物だ。
入り口から入って右側には窓口がいくつかあって、左側には「運転免許証講習」と書かれた立て札が置かれている。
中央のロビーは広々としていて、掲示板には交通安全だったり、防犯に関するポスターが貼られていた。

携帯ショップとはわけが違う。
どことなく張り詰めた雰囲気は病院と似ているな、とナツは思った。

「……ぼくたち、大丈夫だよね?」

いたるが不安そうにナツの服のすそをつまむ。
ほどなくして、若い女の警察官がふたりに近づいてきた。

「どうしたの? なにかお困りごとかな?」

にこ、と警察官はふたりに笑いかけてくる。
ふたりは変わるがわる、先ほど携帯ショップでも話した内容を説明した。

「ふーむ。イクマさん、ねえ……」

警察官は目を閉じて唸ってから、ふたりに声をかけた。

「くわしく聞きたいから、奥の部屋に来てもらえるかな?」

ロビーの奥には、ガラス張りの扉を隔てて、細長い廊下が続いていた。

断る理由もない。
ナツといたるがおとなしくこくこくと頷くと、警察官が扉の横についたパネルを操作した。
どうやら暗証番号式の鍵になっているらしい。

「すごい。映画みたいだ」

思わずナツがそう言って、警察官がふふっと笑う。
扉が開くと、

「さあ、秘密基地へようこそ」

警察官が手で促してくる。
ふたりはどきどきしながら、扉の先に足を踏み出した。