とたん、彼の表情がパァッと明るくなった。
彼は身を乗り出して、あなたの両手を掴んだ。
覚えてないということは、とうとう今日が特異点なんですねェ! 何度目の自己紹介かはわかりませんが、俺の名前は『戸隠 凡司(とがくし ぼんじ)』。『戸隠先生』って呼んでくださいね。 |
俺たちは「コヒナタ先生」によってこの永遠に続く麦畑に閉じ込められてしまったんですよォ。それで、いろいろ試行錯誤中なワケです。あなたのまわりを見てください。 |
改めて周囲を見回すと、ただの麦畑ではなかった。
近くの麦はすべて刈り取られ、あちらこちらに積まれている。そのどれもがすでに乾燥していた。
こんな感じで、麦だけは大量にあるんでね、これを使ってみようと思っていたんですよ。 |
勿論、まだ「あなた」が「あなた」だった時にもいろいろ試しはしましたよ? ですがダメでした。こういうのは、タイミングが重要なんですよねェ。 |
それがちょうど俺とあなたが出会った今日、まさしく「今」ってことです。さァ、さっそく始めましょうか。 |
麦を燃やす
麦でロープを作る