【10番目の本】


いたた……、あれ、ここは……
……うーん、いやな予感がするぞ……
……はじめまして。ぼくの名前は冬吉(ふゆきち)と言います。
あなたが手にしている、「色あせた手紙」という物語の主人公です。
なぜそんなことを知っているのかというと、たぶん、この現象の元凶……、コヒナタ先生には、ぼくもちょっと、お世話になったことがあるから。……わるい意味で。
心配しなくても、あなたの本はすぐに見つかりますよ。近くにあなたと同じにおいのする本があることが、なんとなくわかるんです。
あなたがいま手にしている本を閉じれば、ぼくもまたもとの世界にもどって、ここのことや……、あなたとこうして会話をしたことも、すべて忘れるはずです。


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