【見て見ぬふりをする】
わたしが見て見ぬふりをしていると、うしろから声をかけられた。
スズ。こんなところにいたのか。……それにコヒナタも、おかえり。
ただいま、増田君。まさかきみが玄関先まで出迎えてくれるとは思わなかったがね。
気持ち悪いことを言うな。たまたま通りがかっただけだから。
この状況で、まるで普段どおりといったように会話が続くことに違和感を覚えながらも、
わたしはだまったままうつむいていた。
三嶽先生は、いつのまにか動かなくなっていた。
そして、夜が来る……