ここはぼくの部屋だよ。多少散らかってはいるけれど、屋敷のなかでは、ここがいちばん安全だと思う。 | |
……その、いまは留守にしているんだけれど、 『コヒナタ』っていうやつがきみを見つけた場合、……嬉々としてきみを玩具にするだろうから。 | |
なんていうか、彼は性悪なヤマネコのようなやつなんだ。 | |
……名乗るのが遅れたね。ぼくの名前は『ますだ』。 | |
ぼくたちときみたちとでは、所属している世界がすこしちがうんだ。 | |
基本的に、きみとぼくの世界が干渉し合うことはない。それでも、まれにきみみたいな『向こう側』の存在が、『こちら側』に迷いこんでくることがあったりもするのさ。 |
も、もう帰ってきた!? | |
ああ、あいつだよ……、『コヒナタ』だ! さっきの話だけれど、コヒナタにとってはそういう『向こう側』や『こちら側』の境界が意味を成していないんだ。 | |
今日は『向こう側』に出かけていたから、もうすこし遅くなるかと思っていたんだけれど…… | |
……と、とにかく、どこか隠れるところ……、そうだ! |
……きみはここに隠れていて! ぼくがいいと言うまで出てきてはいけないよ、いいね? |