電気室


……オイ、こっちだ! ……、よし、もうだいじょうぶだ。危ないところだったな。

この屋敷は、おまえのような人間が来る場所じゃない。オレがおまえをもとの世界に帰してやる。

オレがすこしのあいだ……、たった十数年眠っているうちに、ここまで侵蝕してしまうとはな……

……ん、オレの名前? そんなもの、いちいち気にするなよ。ただ、オレは……

オレは、自分の意志でここにいるんだ。いちばん古い友人との大事な約束を守るためにな。

だから、おまえといっしょに向こうの世界に行くことはできないが……、ここまでたどり着いたおまえに、ひとつ、頼みごとをしてもいいかな?

どうか、×××を忘れないでほしい。オレの願いも、たぶんあいつの願いも、同じだと思うから。

……なんてな。わるい、余計な話をしてしまったな。

それじゃ、またな。おまえのしあわせをいつまでも祈っておいてやるよ。


もとの世界にもどる
電気室を出る