実験室



重い扉を開けた途端、きつい消毒液の匂いがした。
無機質で、余計なインテリアなど一切ない、病院よりもシンプルな印象の広い部屋だ。

誘導灯のような小さな灯りを頼りに、あなたは奥へと進んでいく。
そして部屋の奥にたどり着いたあなたは、息をのんだ。





部屋の奥の壁に身を預けるようにして座っていたのは、どこかで見かけたような気がする男だった。

男は血だらけだ。特に腹部の怪我が酷い。
抉り取られたように損壊し、内側が露出している。

あなたはその男がもう死んでいるのかと思ったが、見開かれた彼の目は、あなたのことをしっかりととらえていた。


……ぁ……? 新入りさんですかァ……?

……ケホ……ッ、……にしては、まだ五体満足ですね……。

……俺の怪我? ……思い出させないでくださいよ、メチャクチャ痛いんですから……、ウッ……。

……あなたは、はやくここから……逃げてくださいよ。……俺は、もう……。

……そう言ったきり、男は目を閉じて動かなくなった。

……。