研究室
薄暗い研究室の奥だけ、青白く光っている。
あなたはその光に導かれるように、そっと奥へと足を進めた。
研究室の奥には、筒状でガラス張りの大きな容器のようなものがいくつかあり、複雑な機械とモニターにつながれていた。
容器のなかは、どれも培養液のようなもので満たされている。そのうちのひとつの容器に、あなたは人間が入っていることに気がついた。
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…………。 |
……どうやら少年のようだ。動く気配はない。
あなたが少年の入った容器をまえでしばらくのあいだ立ちつくしていると、うしろから声をかけられた。
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……きみ、生身の人間? なにをしているんだ、こんなところで。よくコヒナタに気づかれずにここまで来れたな。 |
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この子はなにか、って? 臓器と肉体のスペアさ。コヒナタの研究から引き継いだんだ。 |
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悔しいけれど、いままででいちばんの出来だ。あとは筋肉運動をさせて、内臓を安定させれば…… |
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……おしゃべりが過ぎたな。これでぼくも、わりと浮かれているらしい。 |
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……この子が目を覚ましたら、きみも話し相手になってやってくれ。……健康な脳を維持するには、適度な会話も必要だろうから。 |
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いずれ「彼女」に移植するパーツを、大切に育てないと…… |
目を覚ました彼を想像する
研究室を出る