ロジカリズムのことは、……もう忘れたほうがいい。

……え。

今年は……、まあ俺だけれど、来年はきみの番になるかもしれないから。その……

ちょ、ちょっと待ってください! それって……

もしかして都月さんも、「リクルーター」側ですか?

リクルーター……? どういう意味だ? ああいやその、単語の意味がというわけではなくて……

都月さんが、「ロジカリズムに訪問者を誘致すること」を目的にしていた理由です。つまりその……「パソコン」かなにかと約束させられたんじゃないか、って。

パソコン……まさか、メーロ!? つまり、きみも……!? しかも条件は俺と同じなのか!?

じゃあ都月さんも、監視されながら活動していたんですか……。都月さんのパソコンは「メーロ」という名前なんですね。ぼくは……

透真くん、残念でした。

マド!? いつのまに……!?

……そのとき、都月と透真、ふたりの視界が歪んだ。
それは高熱にうなされているときに見るゆめのような光景だった。

歪みがおさまると、そこはいつか見た洋館の、薄暗い廊下だった。


……「とびら」をくぐらなくても、このザマか。ここは……「コヒナタ邸」……!

……コヒナタ邸は、ロジカリズムの「裏側」。「表側」の訪問者を見繕って調理して、住人に差し出す……ぼくたちの常識なんて通用しない館……

都月さん、透真さん。あなたがたは1年かけても、同じ目的のリクルーターと出会うことしかできませんでした。

おふたりとも、覚えていますよね? 1年まえに僕たちと交わした約束を。

1年後の今日までに、ロジカリズムの訪問者数を増やすこと。できなければ「食材」として調理されるということを。

訪問者数は、増えなかった。約束は守られませんでした。ですので、残念ですがここでお別れです。

……ああ、ほんとうに残念だよ。

……?

……マド。ぼくはなんのしがらみもなく、きみと友だちになりたかった。都月さんたちと……、ロジカリズムを楽しんでみたかったよ。

……。

……さようなら、透真くん。

あのとき別の言葉をかけていたら……?