……ちょっと待って! |
……さっき、もう待ちましたけれど。 |
そういうのはいいから! あ、あのさ……、……ここでぼくを殺しちゃうのって、もったいないと思わない? |
余すことなく使いますからもったいなくはないですよ。 |
そ、それでもさ! ぼく、まだ小さいし、食べるところもそこまで多くないと思う。それよりさ…… |
ぼくを帰してくれたら、ロジカリズムを流行らせてみせるよ。 |
……無理だと思いますよ。いままでもいろいろと試してみましたから。 |
やってみなきゃわからないじゃん! ……ぼく、うわさを流すよ。友だちにも、知ってる人にも、……なんなら知らない人にだって! ロジカリズムのうわさを流しまくる! 要(よう)は訪問者数が増えればいいんだろ!? |
……まあたしかに、長い目で見れば、そちらのほうがお得かもしれませんが…… |
約束するから! ……1年でもいい! ぼくに時間をくれたら、かならず! |
…………。 |
……わかりました。 |
! ……じゃあ……! |
では、透真くん。1年後の今日までに、ロジカリズムの訪問者数を増やしてください。 ボクはずっとあなたのことを見ていますよ。いままでそうしてきたように。 |
……ちなみにさ。きみは自分のことを「パーソナルコンピュータ」だって言ったよね。ぼくがきみを……コンピュータを捨てたらどうするの? |
問題ありません。ボクはきみだけのコンピュータじゃない。ボクはどのデバイスにも"い"ます。いまの時代を生きる透真くんから、インターネットを完全に切り離すのことは不可能では? |
……オーケー。きみから逃れることはむずかしそう、っていうことは、なんとなくわかった。 |
理解していただけてよかったです。──約束、きっと守ってくださいね。 |
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